父の職業

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瀬戸内の海を目の前にして、潮騒を子守唄の代わりに聞いて育ったitoitoでしたが、4歳になった時に父が海外へ単身赴任をした事を切っ掛けに、山の方面に引越しを致しました。

周りは田園と言う長閑な田舎の村でした。

4月の新入時期には、学校の帰りに麦畑で、空から舞い降りる「ひばり」を探して遊んでいましたね。

レンゲ草の咲いた田んぼで寝そべって見たり、自然が遊び相手でした。

小学校のクラスはベビーブームのitoito達で2クラスです。

父親の職業は「専業農家」だった人が多かったような気がします。

春に進路調査のような紙を頂いて来ますが、一度で良いから父の職業を「農業」と書きたいと何時も思っていたのです。

大人になったら農家に嫁ぎたいと真剣に考えていた事もあります。

農業が好きだから? 食べる事に困らないから? ではないのですよ。

父親の職業欄に「農業」と書きたかったからです。 

父親不在のitoito家には、毎月1回町から本屋さんが本の配達に来ていました。

itoitoには「なかよし」兄達には「少年」母は「世界時事」のような月刊誌でしたね。

時々は、写真屋さんも来て家族写真を撮っていました。

そんな生活は、村では何の自慢にもなりません。 両親が何時も揃って仕事をしている「農家」の生活は、大きな憧れでした。S_11